img_9500

鈴木貴人監督が特別講演 「いつでも自分が成長できる場所を選んで欲しい」

Share on Facebook
LINEで送る

東洋大学アイススケート部ホッケー部門の鈴木貴人監督が15日、同大学朝霞図書館2階アクティブエリアで特別講演会を開いた。約10名の聴衆を前に、選択とリーダーシップの大切さを語った。Tokyo IceHockey Channel からはスタッフの小林と長堀が出席した。

同大学朝霞図書館が主催した。鈴木監督は「スポーツ界を取巻く現状と世界との壁」をテーマに、アイスホッケーの競技説明から現状、自身のこれまでの歩みについて、スライドやビデオを交えながら約1時間熱弁。「選択自体が結果に結びつくのではない。人生においてたくさんの選択をするが、いつでも自分が成長できる場所を選んで欲しい」と強調した。

同大学図書館では、鈴木監督が掲載された新聞記事の切り抜きやアイスホッケーに関する資料の展示があった。

以下、講演では聞けなかった五輪最終予選や男子日本代表、大学リーグのことまで、本音を語ってもらった。(長堀)

img_9504

9月の五輪最終予選に日本代表コーチとして臨まれましたが、鈴木監督が率直に感じたことを教えてください

鈴木監督:細かいところで言うと、スキルやサイズのハンデであったり、フィジカルだったり、本当にいろんな所がまだ世界レベルに達していないと強く感じました。ただその中でも選手たちは100%努力していますし、力を出し切ってくれた大会だったと思っています。

これからは自分たちも含めて、日本のアイスホッケー全体が大きなビジョンと目標を持ちプランを立てて、実行していく。短期、中期のプランをしっかり立てて、行動に移していかないと、なかなか世界との差は埋めれないと感じています。いかに選手たちをコーチングスタッフや連盟が導いていくかが大切だと感じました。

今回の五輪最終予選には蓑島圭悟選手(中央大学)や三浦優希選手、同予選の合宿には古川駿選手(東洋大学)やハリデー慈英選手(早稲田大学)ら若手選手も参加しました。現在の日本代表選手はベテランの選手も多いですが、今後若手選手を積極的に起用していく方針はありますか

鈴木監督:もう既に次の五輪に向かわなければいけないと思うので、視野は大きく広げていかなければならないと感じています。(五輪は)目標の時期が先のものになるので、そういう意味では年齢の幅を大きく広げていかなければなりません。ただ、その理由だけで若い選手に(代表枠を)どうぞ、ということではないと思っています。どの選手にも平等にチャンスを与えなければいけないと思っていますし、その中で若手、ベテランのいい競争が生まれなければいけません。

ただ先ほど名前が挙がった蓑島、三浦、今回の予選のメンバーからは漏れましたが寺尾(日光アイスバックス)、平野(東北フリーブレイズ)ら有望な若手はたくさんいますので、彼らがベテランと競い、実力でポジションを奪えるようになれば、日本代表の力も上がってくると思います。その意味でこれからは競争の多いシーズンになると思います。

鈴木監督の現役時代から長らく、「世界との差」は結果で出ていると思いますが、今後日本代表が世界と戦い、白星を勝ち取り、五輪の切符を掴むために、鈴木監督が必要だと考えるプラン、そしてプロセスは具体的にどういったものですか

鈴木監督:日本の特徴は個よりもチームで動く時に、他の国の選手よりも力を発揮しやすいといういい特徴を持っています。逆の意味で言えば、個人のスキルが他の国に比べたら足りないという所で、正直(アイスホッケーの)普及から育成強化というものを早い段階からしっかりビジョンを持って伝えていけば、その個人レベルというものは上がってくると思います。個人レベルの成長がチームの大きな力になると思いますので、そこにも目を向けていかなければいけないと思います。

蓑島選手が五輪最終予選後に「大学リーグから日本のアイスホッケーを強くしていきたい」と話していました。しかし、現在の大学リーグに目を向けると、Ⅰ-Aでも上位と下位チームでは歴然とした力の差があります。一部の選手からはチーム数を絞り試合数を増やしたほうがいいのではないかとの声を聞きますが、その点に関してはいかがでしょうか

鈴木監督:えっと…話はすごく長くなりそうなのですが、先ほど少しお話しましたが、ポテンシャルのある高校生の選手の90%が関東大学リーグでプレーしています。そこで18歳、20歳、その次はシニアで世界選手権があって、他の国だとその間の強化をプロで補っているところがあるのですが、今の日本の現状だと、この大学リーグは日本代表のレベルアップにはすごく重要な場所で、仰る通りここがレベルアップしないと日本代表の強化がうまく進まないような重要なカテゴリーだと思っています。

そこで世界選手権がない年代をどうやって強化していくか、経験を積ませるかというのは、もちろん地方連盟、東京都アイスホッケー連盟、現場の私たちもそうですし、日本アイスホッケー連盟もそこを考えながら進んでいかないといけないと思います。

img_9503

現状、大学リーグに所属する選手でA代表入り、またアジアリーグでプレーすることを目指している選手が少ないように感じるのですが、鈴木監督はその点に関してはどう感じますか

鈴木監督:そうですね。仰る通りで、でもそこは彼ら学生だけの責任ではなくて、やはりアジアリーグ自体がもっと魅力のあるものにならなければいけないです。またこれは代表チームの強化を考えても、国内リーグの強化がいかに充実しているかというところで、世界ランキングにも大きく影響しています。トップリーグの価値というものをプレー面、生活面、金銭面を含めて真剣に考えなければいけない時期にきたのではないかと考えます。

鈴木監督もこれまで様々な場面で選択や決断をされてこられたと思いますが、例えば今高校生の選手で早くからトップレベルでプレーしたいと思っている選手がいるとしたら、大学進学か、それともプロの道に進むことを選ぶのか。最終的に選択するのは個人であるということは重々承知の上で、鈴木監督でしたらどちらを勧められますか

鈴木監督:ははは。それを私が答えるのですか。(笑)

そうですね。どの道に進んだからどういう結果が絶対に出る、ということはないと思っていますし、大学には大学の良さが、プロにはプロの良さがあります。その時期の個人の能力であったりチームの力を考えた上で、大学に入るメリットというのは主力選手として使われる可能性がプロよりは高いという所で、チームが苦しい場面だったりチャンスの大事な場面でアイスタイムをもらいやすいのは大学のメリットだと思います。リーダシップだったりもその分早く成長できる場合もあります。

プロのいい所は毎日トップ選手といい環境でプレーできる所がいい所なので、最終的にどこに目標を持ってやっていくかが大切だと思います。

大学に所属している選手の中でも、鈴木監督が当時思われたように、大学を辞めてプロに行ったほうがいいのではないかと悩んでいる選手も少なからずいると思うのですが、当時の鈴木監督はその点に関してどのように考え、悩み、選択されましたか

鈴木監督:そうですね。当時代表チームに入れて頂いたのも大きかったですし、大学のチームが休みの時はプロのチームの練習に参加させてもらったり、そういう経験をさせて頂いた中で、大学リーグにいても自分の成長に繋げられると思えるようになったので。もちろん高いレベルに早く行けばそれだけのものを吸収できるチャンスはあります。ただここでも他のことをまだまだ吸収できるチャンスのあるリーグだと今も私自身思っています。

目標がなくなってしまうと次の道に進むしかないと思いますが、十分にそれを見つけられるリーグだと思うので、今の大学生、蓑島とかも色々思う所はあると思いますが、彼がまだここでできることはたくさんあると思っているので、それを見つけながら将来に繋げていってもらいたいと思います。

では最後に、高校生や大学生の選手に向けて鈴木監督から伝えたいことがあればお願いします

鈴木監督:選択をするにあたり目の前のことを考えることはすごく大切ではあります。というのは、正直に条件だったり、選べる範囲の中で目に見えたものは大切であると思うのですが、人生は本当に長いので、振り返ると自分が悩んでいたことは何だったのかと思うことが多くあります。

最終的には自分が一番成長できることを一番に考えて選択してもらいたいです。そうすれば望む場所に行けるチャンスが増えると思います。

鈴木監督、ありがとうございました

Share on Facebook
LINEで送る

The following two tabs change content below.
長堀 笙乃

長堀 笙乃

元体育会明治大学スポーツ新聞部のアイスホッケー部担当。スポーツ報道をしたい。そのためにスポーツが強く、新聞部のある大学を選んだ生粋のスポーツ記者。この春大学を卒業し、現在は新人記者として修行中。休日はアイスホッケーの取材に走り回っている。