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【対談】釧路ビアリーグにかける想い1

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釧路ビアリーグはカナダでの社会人アイスホッケーを参考に2014年に設立された、「チェック禁止」などの特別ルールを持つ社会人のアイスホッケーリーグです。ビアリーグという名前の由来は、beer=ビールであり、楽しくホッケーをした後にビールを飲んで楽しく語ろうという思いが込められています。

アイスホッケーの本場、カナダではかなり広く普及しているビアリーグですが、日本ではこれまで、社会人リーグはあれど、初心者が気軽に始められる、仕事のある社会人でも安心できる、「チェック禁止」を明確に定めた定款を持つリーグはありませんでした。

2014年設立ながら、2年目の2015年度には釧路の地で登録メンバー230名、13チームを数えるまでに急成長した釧路ビアリーグ設立の立役者、株式会社プロフォーマンス代表中島仁実さんにその思いと決意を伺いました。

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スタンレーカップを模したサンセットカップ

中島さんは今年、41歳、釧路江南高校でインターハイを制覇、早稲田大学に進学し、古河電工アイスホッケー部に入団、後にアイスホッケーコーチングを学ぶために単身カナダへ10年間居住したという経歴を持つ日本のアイスホッケー界でも異色の方です。

中島さんは、お仕事の傍、琉球、九州、新潟、久留米大学や福井県チーム、新潟県チーム、そして東大などをコーチングなさっています。今回の対談は、東大アイスホッケー部2015年度副将小林が全3回でお送りします。(以下敬称略)

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釧路ビアリーグはリンクを救う!?

小林:釧路ビアリーグを作ろうと思ったその想いの根底にあるものって何でしょうか?

中島:これまでの人生、日本のアイスホッケーをなんとかしたいと思って頑張ってきたのだけれども、2001年、カナダに渡って毎日ホッケーのことを考えていた時に一度スタバで日本のアイスホッケーの問題をばーっと思いつくままに書き出してみたことがあるんだ。それで自分にできることはなんだろうって考えた。

指導者の問題、レフェリーの問題、競技人口が少ないという問題・・・その中でもまず、指導を学ぼうと思ってカナダに渡ったんだよね。ところが、そのときにちょうど西武鉄道廃部、雪印廃部、あちこちが廃部ってなって、「指導以前にホッケーをやっている絶対数が少ないのがいけないんだ」って気づいた。

絶対数が減るからプロチームも養えない、ジャパンも弱くなる、だから「底辺を広げよう」。そう思ったんだよね。

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カナダのリンクは一箇所に数面あることが多い

中島:カナダには恐ろしいほどのビアリーグがあるんだよね。俺の家から30分くらいだけでも30面くらいのリンクがあるわけ。で、その各リンクにリーグが存在していてそれもちゃんと年代ごとに分けてある。俺の行っていた社会人チームも20ディビジョンもあってそれぞれ5、6チームある。

それが30面、30分圏内にあるわけで、社会人の人たちがやる環境があって、その子供たちも当然のようにホッケーをやる。底辺がしっかりしているからバンクーバーカナックスを応援する子供たち、大人の人口ボリュームがちゃんとある。きちんとそこにピラミッド構造がある。

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中島:じゃあ日本はどうだろうって考えると、プロがなくなる、夢なくなる、子供たちやらない、競技者減る、リンク減る、問題だらけじゃん!って。だからね、それを全部書き出してみた。何をどうしたらこれを打開していけるのかって。

子供を増やす?手段は?人気を出す、NHL選手を出す、ジャパンがメダル・・・

いやこれは無理だなって思ったときに、俺がまずできるなって思ったことは各地のリンクの維持、存続だなと思った。

「じゃあどうやるか?」

競技者増やすために、少子化の進む中子供にやろうやろう言っても限界だよね。みたことないスポーツはやらないから。そんな時、いろんなチームをコーチングしてく中で、実は、大学アイスホッケーの人口の半分は大学初心者だっていうことを知った。

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小学生は1〜6年まで合計なため多く見える。単年度での競技人口は左からそれぞれ、603→600→473→942

中島:その大学から競技を始めた人たちがそのあと社会人でやる環境が本当にない。「4年間やりました。やりきりました。でも、国体予選でるほどうまくはなれなかった・・・」とか悲しい話とか、あとはそうでなくても30くらいまで社会人でやってたのにチェックされて骨折して引退だとか。

「年取ったけど、若い人についてけないからやめる」だとか。

じゃあこの人たちをキープできれば、競技人口は増えるんじゃないかなと思った。それが新リーグ、つまり釧路ビアリーグの立ち上げだった。

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中島さん本人も江南高校OBチームに参加

小林:なんかの記事で見たんですが、釧路ビアリーグを知って、結構お年をめされているのに「アイスホッケーをやりたい!」って始めた人もいるとか・・・

中島:そう。65歳の人も初めてホッケーを始める。それまで遠ざかった人も戻ってくる。そういったおかげで、釧路の街だけで230人、13チームも集めることができている。ちなみに、ビアリーグをやる前は4〜7月の夜10時の枠とかは全部空いてたんだよね。

小林:マジですか?東京だとありえないです・・・・。枠取れないと26時とか27時とかですよ。練習開始時間が笑。

あと、3点差ついたら特定の上手い人のゴールはノーカウントとかいうルールもすごい面白いですよね!結果的に、上手い人出ずっぱとかじゃなくて、初心者も出れる。

中島:そうね。だから3点差がついてからが勝負というか、そこから試合が均衡していく。これが面白い。ビアリーグはちゃんと試合数もあるし、みんなが均等に試合に出る。

カナダの子供は試合数が多い

中島:これは、子供たちの環境の話になるけども、日本の子供たちは本当に試合数が少ない。大学ってさ、大所帯になればなるほど、1年生とか出れない子たちがいるし、4年になっても出れない人もいるわけじゃん。試合が一番楽しいのに。

小林:ほんとそうですよね。北米だったらレベルごとにカテゴリーがあるじゃないですか。年齢とか学校じゃなくて。2年区切りでレベルが合う同士でやるっていうのがすごくいい。

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中島:向こうって基本的に試合に出ることを想定して3セットしかチームに取らない。だからたとえば俺が所属していたバンクーバーマイナーホッケー連盟ってところはたとえば13、14歳のカテゴリーの子がチームに入りたいっていって申し込みがくる。

そこからトライアウトがあって、AAA、AA、 A、B、C(ハウス)で振り分けられるんだけど、そこでトライアウトあって、選手をとってく。

もう最初から楽しみたいだけの子はCに行くんだけど、各カテゴリーに監督がいてトライアウトのキャンプが始まってそこで子供たちがゲームして、監督がズラッと並んで、ドラフトするんだよね。それは面白いなとおもった。

俺はその時Aのコーチだったから、みんなランキングつけていってAAA、AAに取られて、Aの中でも4、5チームあるからそこからドラフトかけて、無理だった子は下に送られていく。

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指導する中島さん(中央)

小林:でもどこまで落ちても絶対ハウスでホッケーできるんですよね。しかも、自分より意味不明なくらい上手いひとはいない、楽しい環境で。

中島:うん、そうだね、ある程度その年の定員とかも決められてるけど、まあハウスで最後できる。

小林:それってすごい合理的でいいですよね。日本は、たとえば小6でどこかのクラブの練習見に行ったとしても、なんかみんな上手いし、今更できないよなってなる。僕のことですけど笑

中島:入りずらいよね、結局カナダはきちんと、各チーム15人って決めてるから試合に出れないことがないんだよね。それもカナダ人に言われたんだけど、「じゃあお前らのチームは30人とか選手いて残りの10名なにしてんの?」って。

思えば、水汲みとか、ビデオとか、4つ目はベンチでずっと見てる。

俺もその経験がたくさんあって、4セット目で試合に出れないっていう。俺の指導の原点ってたぶんそこなんだよね。トップ選手を育てるよりも、ベンチ入りできない人間、試合に出れない人間が最後心折れていくみたいなのをなんとかしたかった。

 日本の部活は違うけど、カナダの人たちって現金で、ホッケーするのに同じお金払ってるのに、なんで同じように試合出れないのって考え方なんだよね。マイナーホッケーは。

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サンノゼ・シャークスにドラフトされた当時の教え子

中島:アマチュアの選手は1万円を払って、このスポーツをやる機会を与えてもらっている、だけど、上手いから試合でれて、下手だから出れないってなると、お金を払ってるのに不公平だって言われる。これコーチングクリニックでも必ず聞かれることは、

「上手い子使って勝ちたい、でもコーチはフェアじゃなきゃいけない。さあどうする?」

って質問なんだけど、いろんなコーチがいろんなこというわけで、それはカナダでもテーマなんだ。でもやっぱり結論は、3つセットあるんだったら、3つで回す、ラスト何分かで試合に勝ちに行くときは、ベストセットでいく。

「基本全員回さないといけない」って指導されるんだけど、日本はそういうのないから、出れないって決まったらずっと出れないんだよね。でも俺の考えとしては、ほんとに辛い練習がムチだとしたら、試合が飴なんだよね。それで飴のためにムチで打たれても我慢できるんだけど、飴がないのにムチ打ちだけだったらね・・・・

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日系カナダ人チームと埼玉栄高校の交流戦

小林:試合出してもらえないとアピールするチャンスもないですよね。それで見てもないのに試合出さないって決めんじゃねーよってなったり。自分のプレースタイルがチームにあってないからいらないって言われる人もいたり。

中島:チームに合ってないからいらないんじゃなくて、その子のスタイルを合わせるためにどうすれば良いかっていうのを教えるのが真の指導者だと思うんだよね。

俺もそういうことをされたのがきっかけになってて、嫌な思いしたんだけど、まあ下手だから仕方なかったかもしれないんだけど、ただその俺になんの光も浴びさせてくれないわけでしょ。何をして、どうしたら試合に出れるのか、どう日々に練習をすれば良いのかなどを教えるべきなのに、それを何も言わずに、結局理由も何もわからない、たぶん俺のことが嫌いだったってだけで、俺何したんだろうって悩んだりしてね。

だから指導者はなんで選手が試合に出れないのか、あ、この子もう不貞腐れてきたなとか、気持ちが折れてるなとかいうときにフォローができる、それができて初めて指導者だと思う。

戦術を知ってるとか、教え方が上手とか、それだけじゃない。監督ってチームのマネジメントしないといけないのに、選手一人の心のケアもできないで、監督だとか、俺にしてみればチャンチャラおかしいと思うよね。選手の心のケアができて初めて監督だよね。

小林:なるほど、それがカナダでのコーチングの勉強で得た一番大事なことですか。

中島:そうだね。俺はそういう心の傷を負っていく選手を減らすためにって思ってるから、自分が選手としてはあまり恵まれてはいなかった上手くなれなかったというのもある意味良い教材だったよね、今では。

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【対談2】に続く・・・

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小林 泰

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東京大学運動会スケート部アイスホッケー部門2015年度副将 アイスホッケーは5年目。筋トレは週4だが、最近氷に乗るのは月1回程度
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