それは生ける伝説となった2つのチームの最後の試合だった。
日体大は昨年三冠を達成し学生王者の名をほしいままにした明大を延長含めて死闘65分、そして、劇的GWSの末に下し、創部以来初の決勝進出を果たした。
《SCORE》
中央大学vs日本体育大学
GOAL(2-1,2-0,4-1)
Total 8-2
SOG (19-7,9-8,21-10)
Total 49-25
中大は春以来サマーカップも含めて無敗。100年にも迫ろうとする部史に金字塔を打ち立てる初の三冠をかけていた。
中大にとって相手は格下の日体大だが、日体は前々日に関大を、前日に明大を下してきた奇跡を信じ勢い十分。
中大八戸監督は試合冒頭から仕掛けた。
試合開始のフェイスオフからセットを組み替えて4年セットを当てる。次に出てきたのは中大3rdセット。破壊力抜群の中大1stラインを日体大の手薄なセットにぶつける魂胆だった。日体大ベンチも対応しようとするも相手の奇襲に混乱、思惑にはまって第二セットに中島、鈴木、坂本のラインをぶつけられ開始1分48秒で失点した。
【開幕から僅か2分、中央のゴールが決まる】日本体育大学0−1中央大学01:48【Goal】 FW 坂本 颯 Assist:鈴木 健斗 中島 彰吾https://www.showroom-live.com/icehockey-ch
Posted by Tokyo IceHockey Channel on 2016年1月8日
だが、日体大も持ち直す。奇跡を信じていたチームを、会場全体が心なしか応援していた。日体大のチャンスのたびに沸く観客席。中大にとってはやりずらい雰囲気だった。
それでも第1ピリオドは終盤、26番坂本のゴール裏のパスから21番鈴木がスティックを一閃。ゆさぶり続けた中大が日体大ネットを揺らす。
【中央2点目 リードを広げていく】日本体育大学0−2中央大学17:28【Goal】 FW 鈴木 健斗 Assist: 坂本 颯https://www.showroom-live.com/icehockey-ch
Posted by Tokyo IceHockey Channel on 2016年1月8日
2点差は重い。だが、日体大はわずか17秒後中大守護神金子の鉄壁の守りを破って反撃の一点を取った。
【2点を奪われた日体、しかし戦意は一切失われず】日本体育大学1−2中央大学17:45【Goal】 FW 相澤 昂輝 Assist:阿部 俊介 沢崎 彪斗https://www.showroom-live.com/icehockey-ch
Posted by Tokyo IceHockey Channel on 2016年1月8日
準決までの奇跡を起こす日体大のチームは決勝でもそこにあった。GK高橋の好セーブ、数少ないチャンスで攻め上がるFW陣。
しかし、中大は三冠という重みを受け止めるに足るチームだった。
第2ピリオド、日体は好プレーを続けるが中大は淡々と2得点を重ねる。そのまま第3ピリオドへ。
最後の20分。最後のピリオドだった。物心ついたときからスケートを履いていた彼らの多くはそこで競技人生を終える、最後のピリオド。大学ホッケーにピリオドを打つ20分。
中大は最後まで手を抜かなかった。4点を着実に重ねる。だが、日体も意地の一点を返す。
そして、中島は最後まで、中央大学というチームを率いてきたキャプテン中島だった。
エンプティーゴール、そして、最後のターンオーバーからのブレークアウェー
引退試合、このチームで最後の試合。最後の得点は常にチームをその背中で率いてきた中島がしたのだった。
最後の試合をハットトリックで終えたのだった。
中大歓喜の瞬間。
だが、日体も円陣を組み最後、彼等自身の健闘を称えあった。
今大会、全4年生がポイントを決めた中央大学最上級生は最高の引退を迎えたのだった。
text = Yutaka Kobayashi
photo = Daiki Takebuchi,Chie Yokoyama
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【中央大学1920年創部以来初の三冠】その瞬間、氷上にいたのは4年生だった。最後の瞬間のノーゴール。ゴールに向かい続ける姿勢チームへの献身彼らは彼らが歴史を動かすに足るチームを率いていたことを証明したのだった。
Posted by Tokyo IceHockey Channel on 2016年1月9日