img_0156

海外挑戦は夢物語ではない。GK古川駿の挑戦は続く

Share on Facebook
LINEで送る

昨今、海外挑戦に挑む若手が増えている。

昨シーズンには寺尾勇利選手および平野裕志朗選手が、今秋からは三浦優希選手がアメリカジュニアトップリーグであるUSHLへ挑戦している。同年代では、フィンランドには黒岩選手、デンマークには長山選手が挑戦している。LeadOff Sports Marketingのように、選手の海外挑戦を手助けするところや、ケベック国際ピーウィーホッケートーナメントに日本の子供達を連れていくというプロジェクトもかなり認知度が高まってきたところだ。

大学リーグからも今年6月、中央大学蓑島圭悟選手、東洋大学古川駿選手、早稲田大学ハリデー慈英選手がUSHLのトライアウトに挑戦した。今回は、東洋大学古川選手に初めての海外挑戦を終えた感想を聞いた。(9月4日取材)

初めての渡米

今年5月の始め、古川の元にある一報が入った。東北フリーブレイズ若林クリス監督から「USHL加盟チームYOUNGSTOWN PHANTOMS(ヤングスタウン・ファントムズ)のトライアウトを受けてみないか」と連絡があった。

古川「USHLはジュニアリーグなので、人数の入れ替わりが激しくて、プレーヤーを探しているということで。たまたま東北フリーブレイズから平野選手がヤングスタウンに行ったので、そのつながりで誰かプレーヤーはいないかと聞かれたところ、僕とハリデーと蓑島を推薦してくれました。知らせを受けた時はチャレンジしてみたいと率直に思いました。嬉しかったです」

これまでU20や高校時のロシア遠征で海外には数回行っていたが、アメリカに行くのは今回が初めてだった。準備は申し込み用紙を記入して、メールで送るなどした。カナダでホッケーをしていたことのある寮で同じ部屋の先輩から簡単な英会話を教わったという。

img_0157

ヤングスタウン・ファントムズの本拠地Covelli Centre

米国でつかんだ手応え

USHLは16〜20歳までの選手が所属する、北米のジュニアトップリーグだ。米国の中西部を本拠地とする17チームが加盟する。防具の支給はあるが、報酬はない。多くの選手はUSHLを出た後、大学に進学しNCAAでプレーするという。今回、古川がトライアウトに参加したしたヤングスタウン・ファントムズは、オハイオ州で2番目に大きな都市、クリーブランドの国際空港から南東に110キロ走ったところにある。

トライアウトは6月8日から12日にかけて行われた。

古川「トライアウトの内容は、ヤングスタウンのチームは他のチームと違って、最初にキーパーだけ50人くらい集められて、メインキャンプに進むために50人から12人まで絞るということで、基本的なスケーティングやセービングの動作を見られるゴーリーセッション、選考会みたいなものがありました」

古川はゴーリーセッションと2ゲームをこなして48人から12人に絞られたメンバーには残ったものの、オールスター戦に出場できる2人には選出されなかった。古川はトライアウトをこう振り返る。

古川「12人からオールスター戦に最終的に選ばれたのは2人でした。試合形式でやったのは2試合でしたが、2試合の中で安定した結果が残せなかったというのが選ばれなかった理由だと思っています。あとは、もともとドラフト組でベラルーシのU20のキーパーがいたのですが、このリーグは外国人枠の他にオーバーエイジ枠(21歳の枠)が限られていて、2つの枠を使うGKを2人も取ることは難しい話で、枠の問題もあったかなと思います」

チームの公式Twitterに古川選手の名前が載った

最終メンバーにこそ選ばれなかったが、それでも今回トライアウトに参加したことで、古川駿の名前はUSHL関係者に知れ渡った。米国で無名だった彼が、挑戦権を得たようなものだ。それだけでも、トライアウト参加は成功だったと言っていい。

古川「初めてトライアウトを経験して、ホッケーが強い国のリーグやシステムを体験できて、本当に勉強になりました。チャンスがあればもう一度行ってみたいという気持ちはあります。レベルは低いわけではないですが、全く太刀打ちできないレベルではなかったです。できたかなと。

技術の正確さ、素早さ、力強さはレベルが高いなと思いましたが、米国だろうが、カナダだろうが、ヨーロッパだろうが、GKがやっている基本的なことは変わらないと思いました」

ホッケーへの情熱

そもそも、なぜ数多くの選手がいる中で、東北フリーブレイズ若林クリス監督は古川に声を掛けたのか。若林監督はTokyo IceHockey Channelの取材に対し、古川のスケーティングの技術、スピード、何よりも向上心の高さを評価した。「古川、ハリデー、蓑島は日本のホッケー界をリードしていかないといけない人間だと思ったので声を掛けました」と。古川はこう語る。

古川「今回トライアウトに行けたのもそうなのですが、たまたま若林監督が話をつけてくれたというか、受け身の状態だったらこういう話はこないと思いますし、まして日本だけでプレーしていたら海外のチームのスカウトに見られることもないと思います。自分からどんどん情報を集めて、自分で自分を売り込めるようにしていかないともっと上でプレーするのは難しいと思いました。

トライアウトを受けたことによって、もっと高いレベルでホッケーがしたいと思うようになりましたし、その結果メンバーに残ったベラルーシ代表のGKイワン・クルバコフ選手は五輪予選のA代表にも入っていて、負けてられないなと思いました。一方的ですがその選手をライバルとみて、目標にしたいと思いました」

トライアウトを受けた選手の中で唯一の日本人だった古川。周りからの評価はどうだったのか。

古川「米国と比べると日本はレベルが低いですが、日本人もここまでできるんだというのを見せられたと思います。スタッフやチームメイトもいい評価をしてくれて、スケーティングに関してはコーチから褒められて、ちゃんと訓練してきたんだなと言われました。なので、どんどん上を目指して行きたいです」

img_0012

日本代表選考合宿で三浦選手の20歳の誕生日を祝った。古川選手は一番右。

日本代表選考合宿に初参加

古川は、9月にラトビアのリガで行われる男子オリンピック最終予選に臨む、男子日本代表選考合宿に初めて招集され、7月20〜25日にかけて北海道苫小牧で行われた合宿に参加した。結果メンバーに選ばれることはできなかったが、ここでも自らの課題を見つけたようだ。

古川「アジアリーグのトップ選手が集まっていたので、レベルは高かったです。結果を出せばもしかしたら入れたかもしれませんが、そう簡単には上手く行かなかったです。いつも僕、U20やA代表の選考合宿、ユニバーシアードの選考合宿も全滅なんですよ。まだユニバーシアードの結果は出ていないので分かりませんが、トライアウトに弱いのか全然止められないんです。そこを止められるようにならないと代表には入れないと思うので、まずは選考会で止められるようになりたいと思います」

同学年の蓑島選手や三浦選手が代表に選出されたことに関しては、

古川「一緒にU20に選ばれた仲ですし、今回選ばれたことに関しては心の底から喜べる一方で、悔しい、先を越されたなという気持ちもあるので、すぐに追いつけるように力をつけたいと思います。学生のうちに代表に入ることが目標です」

=====

古川選手、ありがとうございました。

初めて取材させて頂いたのは今年の3月末でしたが、今回サマーカップで会った時は目の色が違ったというか、言葉の端々からホッケーに対する熱い想いが伝わってきました。

この夏は実業団の練習に積極的に参加し、ホッケー漬けの毎日を過ごしていたとのこと。東北フリーブレイズ若林監督が仰る通り、これからの日本のホッケーを背負って立つ選手だと思います。

「みんなに憧れられる、目標とされる選手になりたい」と語る古川選手。挑戦はまだ始まったばかりです。

13100756_1135647556456347_3853207804678754592_n

 

Share on Facebook
LINEで送る

The following two tabs change content below.
長堀 笙乃

長堀 笙乃

元体育会明治大学スポーツ新聞部のアイスホッケー部担当。スポーツ報道をしたい。そのためにスポーツが強く、新聞部のある大学を選んだ生粋のスポーツ記者。この春大学を卒業し、現在は新人記者として修行中。休日はアイスホッケーの取材に走り回っている。