Credit: RedBull Content Pool Photo by:Jason Halayko – @jason_halayko
アイスクロスダウンヒル。アイスホッケーの防具を着て(厳密にはそうでなくてもいい)斜度のついた氷のコースを滑り降りるその速さを競う競技だ。日本では馴染みがない競技だが、それもそのはず。
昨年末にRedBull Crashed Ice Yokohamaが開催されたのが日本初上陸だったのだ。
この競技が生まれたのは2001年だが、国際団体ができたのは2015年。比較的新しいが、アメリカやヨーロッパでの人気は沸騰中。RedBullの最高ランクの大会では観客5万人超を集めるほどのイベントとなっている。
そんな中、日本では始まったばかりのこの競技を盛り上げようと立ち上がったのが、猿渡亮さんだ。
猿渡さんはもともとはアイスホッケーの経験者。小学生の頃から地元名古屋のクラブチーム、大学では早稲田大学アイスホッケー部でパックを追いかけていた。冬競技には造詣が深く、アイスホッケーをする一方で、アルペンスキーも競技歴が長い。高校ではインターハイに出場するほどだったという。
「正直、早稲田大学のアイスホッケー部では試合に出れるほどではなかったんですよね。それこそ久慈選手が一個下の代にいたりと黄金世代の早稲田大学でした。あの頃の早稲田大学は8セット分くらいプレイヤーがいたので。」
そんな中、偶然テレビで見かけたのがアイスクロスダウンヒルだった。
「アイスホッケーと、アルペンスキーの掛け合わせだったら私でも勝ち目があるんじゃないかと。それで、どうやったら出れるのかと大会主催者に問い合わせてみたんです。」
一度はすげなく追い返された猿渡さんだが、再三のアプローチで日本初のアイスクロスダウンヒル出場選手となった。しかし、その後は就職などで競技から離れた。そんな猿渡さんを競技に引き戻したのは前述のRedBull Crashed Ice Yokohamaが開催されるという情報だった。
「アジア初開催、北米やヨーロッパでしか開催されたことがない競技ですが、これを機に日本でアイスクロスダウンヒルをでできる環境を作りたいと思いました。」
そして、猿渡さんは実際に、日本アイスクロスダウンヒル協会を設立した。今は、2/23.24に信州菅平高原パインビークスキー場で開催するアイスクロスダウンヒルの大会準備に奔走している。
できて間もないアイスクロスダウンヒル競技だが、大会にはグレーディングがある。横浜で行われた大会はもちろん最高ランク。ポイントを持っている選手か、選考会を突破した選手しか参戦することはできなかった。だが、今回主催する大会では誰でもが登録をすれば参加することができる。
「大会には、100、250、500、そして、1000というランクがあります。500くらいまでは登録すれば誰でも出れる大会なんですが、今回菅平で行うのは100の大会です。」
ゲレンデ脇に作るコースは、夏は棚田、冬はゲレンデ外の空き地だ。棚田を使ってアイスクロスダウンヒルのコースに活かすことを考えている。スキー客の使わない場所を活用することで、スキー場側にもメリットのあるような形を模索している。
「氷を張れるだけ気温が下がって、雪もあまり降らないという条件のスキー場はあまりなくて会場を探すのは難しかったのですが、パインビークさんにはよくしていただいています。アイスクロスダウンヒルは、斜度のついた氷がある場所が日本の中で一つもありません。インラインの障害物コースはありますが、それは氷ではないし、スケートリンクで障害物コースを作ってもそれは斜度がついていないし。将来的には、常設型の練習場所みたいなのができたらいいなと思ったりしています。」
日本に上陸したばかりのこの競技、先日のボストンでの大会では現役同志社大学アイスホッケー部アイスホッケーからは山内斗真選手が3位入賞、アジアリーグで長年プレーした鈴木雅仁選手もアイスホッケーから転向するなど最近は動きが大きい。
来週末菅平での大会は登録すれば誰でも参加できるということ。これを機に競技を始めてみるのもいいかもしれない。
Photo by: Suguru Saito – @sugurusaito26